私はもう腹をくくった。
おおげさにいえば、iPhoneと心中をする覚悟が出来たということだ。十数年間使い続けたdocomoをMNPして慣れ親しんだメインの電話番号をiPhoneで使うことになる。
この料金体系では高すぎて使えないから買うのをあきらめるとか、携帯電話とiPod Touchとの連携でゆくといったような声も多数聞く。あるいは「携帯先進国」である日本では、あれもこれもできないiPhoneは売れるはずがない、iPhoneは一部のMacフリークやガジェットヲタだけのおもちゃだと断定したりもする。彼ら何も間違ったことは言っていないように思える。それまで数千円しかかかっていなかった月額の携帯代金が下手をすると倍になってしまう。日本の標準的な携帯電話にはあたりまえにある機能がない。片手でブラインドで操作できないのでは使えない。そういった声(書き込み)に触れるたびに自分の中で釈然としないものがあってずっともやもやしていた。はたしてそうなのか、ほんとうにそうなのか?何も考えずに「買う」と決めている私はただただ妄信的にお布施を納めようとしているMac教の信者なのだろうかと。
前回の記事で、それまでのソフトバンク携帯はそのままにしてメインで使用しているdocomoの携帯をMNPすることを書いたが、最善の策をとったと自分では納得しているものの、毎月の負担額はいままでよりもかなり増えることは間違いない(概算で約5千円増の1万4千円弱くらいか。)私の場合は少し特殊かもしれないけど、ほとんどの方がiPhoneを使うために月々の負担が増えることになると思う。ようはその負担増が納得できるかできないかで、納得できない方は、iPhone購入をためらい、悩み、うめき、うらみごとを言い、人によっては「iPhoneは買わない」宣言をする。では納得する人は、結局お金に余裕があるということかというとそれだけではないはずだ。
話は少し脇道にそれるが、私は普段業務システムの受託開発を主な仕事としている。いまどき、ゼロからシステムを作る非効率的な開発を許してくれるところはとても少ないのが実情なのだが、業種によっては独自なシステムが必要とされる場合もまれではあるけれどあって、クライアントと一緒に苦労を重ねて作り上げたシステムが稼働するときふと目頭があつくなるほどの感動をおぼえたりもする。私は、なるべくクライアントの要望を受け入れ形にしてゆくように心がけているけれど、開発に入る前のコンサルティングの段階でその会社のトップの考え方があまりにも効率化・省力化・経費削減にばかり偏ってしまっていると、システムの現場への導入がうまくゆかないことがある。例えば事務員が5人いるとすると、新しいシステムが導入されて業務が効率化・省力化すると誰かが一人やめなければならないような雰囲気になったりするのだ。
実際にはそんなことはなくてほぼ手作業でやっていたような業務処理はたいていの場合システム導入することで手間が増え事務員を増やさなければならない場合すらある。それでは経費削減にならない、そんなシステムはいらないとも言われることも少なくない。しかし、そのような時には「今まではできなかったことが出来るようになります。」「今まで、手に入らなかった物が手に入ります」と説明している。手間や経費は増えるけど、例えば原価管理・在庫管理がきちんとできるようになれば適正な見積をタイムリーに提出できたり、在庫を大幅に減らせたりして結果的に大きな経費削減を実現できたり、新しい顧客を獲得できたりする。それまでの「枠組み」の中だけでものを考え、経費の削減のみを考えるときシステムはその本領を発揮する事ができなくなってしまうだけでなく、導入の費用さえ高いものに思えてくる。
同じように、いままでの概念の携帯の延長線上にiPhoneを考えたとき、通信費用を含めた月額費用の負担が大きく感じられるのではないのだろうか。あたらしい「携帯電話」ではなく、新しい「ライフスタイル」を買うという考え方はどうだろうか。新しいライフスタイルを実現してくれる(あるいは少なくとも提案してくれる)すてきなガジェットがiPhoneなのだと。
私は、新しいライフスタイルを実現してくれる(あるいは少なくともそう予感させてくれる)iPhoneを手にするのを一日千秋の思いで待ちこがれている。そして、新しいライフスタイルを手に入れる代償としての費用もよろこんで支払うつもりだ。
2008年7月4日金曜日
新しいライフスタイルを手に入れるための代償
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6 コメント:
わたしは携帯+touchでいきますが、
腹を括ってiPhoneを楽しむというのも良いですね。
iPhoneは月額の出費にさえ腹を括れば、
後は怖いもんなしですから。
購入後のレポート楽しみにしています。
boldquinさん、コメントありがとうございます。
私は、iPod touchも持っていますがiPhoneでしか得られない体験というのがあるような気がしてなりません。何よりも、iPod touchとメインのdocomo携帯ととソフトバンクテレコムな家電からの転送専用のソフトバンク携帯と、デジカメを常に持ち歩くのに辟易としているところがあります。携帯が2台ある時点でBluetoothヘッドセットの使用もためらわれますし、これがiPhone一台で済む・・・だけでない何かが待っているように思います。それは、iPhoneを使っている自分の中に起こることなのかもしれませんが。
そのへんをレポートできたらいいなあと今から思っています。
僕はiPhoneの購入予定はありませんが、
素敵で良い文章ですね。
ありがとうございます。ちょっと照れくさいです。
携帯電話としての安定性ならピカイチのドコモお捨ててまでiPhoneに走る事が理解できない...
匿名 さん、ありがとうございます。いただいたコメントへの回答が遅くなりすまないです。
今回の決定は、あくまでも私名義の回線に関して、私の感性で決めた私の選択です。誰にでもお勧めするものではありません。匿名 さんをはじめとする多くの方から見ればありえないことなのかもしれませんが、だからこそ記事としては面白くないですか。代償はお金だけとは限らないし、なんの代償も払わずに手に入れる物がそれほどすてきだとも私は思いません。
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