2007年5月10日木曜日

MacOSXでドットインパクトプリンタを使う

 「Macには対応していません。」という製品はちかごろめっきり少なくなってきているような気がする。Mac対応を正式にうたっていなくても、「実は使えます。」みたいな製品もあったりする。ところが、逆に全滅なのはドットインパクトプリンタの世界。MacOS9の時代には、EPSONやOKIの一部の製品が細々とでも使えていたのだが、MacOSXに対応しているドットインパクトプリンタは皆無となってしまった。

 いまさらドットインパクトプリンタなんて使うの?という声も聞こえてきそうだけど、オフィスの現場では複写式の専用フォーマットの見積書や請求書や、宅急便の伝票などいまだに需要はある。というか、なんとか管理システムみたいなものをMacで提供する時に避けては通れないところといっていいかもしれない。では、どうするのか。そこだけWindows機を用意するというのもなんだかスマートじゃないし、業務の上でも操作が面倒になる。

 MacOSXはUNIXがベースになっているOSで、その印刷システムもCUPS(Common UNIX Prnting System)というシステムに基づいている。このCUPSに対応しているプリンタドライバは結構な種類がいろんなところから提供されていて、MacOSXにも標準でいくつかのドライバが用意されている。メーカーがMacOSX用のプリンタドライバを用意してくれない場合でも、CUPS対応のドライバがあればいわゆるMac非対応のプリンタでも使う事ができるというわけ。MacOSXのCUPSについては、はやぐいさんが掲載している情報がとても詳しい。

 今回も、それまでMacOS9で運用していた工事管理システムをアップグレードしてIntel iMacをずらりと並べる事になった。サーバはPowerMacG5だ。いままでは、PowerMac4400だったから隔世の感がある。ドットインパクトプリンタはOKIからEPSONのVP-4300に変えた。しかし、当然VP-4300にはMacOSX用のプリンタドライバはないので、CUPSで用意されているドライバで代替しようとのもくろみだ。プリンタを選ぶ段階で、メーカ指定を「ESP」にしてあげると、「EPSON 24-Pin Series ,CUPS v1.1」というやつがあるので選択するとプリンタを追加する事が出来る。

 しかし、今回の使用目的のデータベースシステムからの印刷がどうもうまくゆかない(文字が不鮮明で使用に耐えない)ので、どうしたものかと、ネット上をさまよい歩いて見つけたのが、ESP Print Proだ。納期が近づいて、夜通しの作業を続けていた私はわらにもすがる思いで、DEMO版をダウンロードして試すと、いままでの問題が嘘のように快調に動作する。すぐさま、ライセンスを購入よかったよかったというわけだ。

下の画像は、プリンタ設定ユーティリティでプリンタを追加するところ。


 ESP Print Proは、ユニバーサルバイナリではないけれど、Intel Macでも問題なく動作するようだし、今回はPowerMacG5(サーバ)にUSB接続したVP-4300をプリンタ共有して使うので何も問題がない。こういう、それまでは不可能だった事をソフトウエアの力で解決できたりするととっても気持ちがよい。これからも、UNIXで培われた技術やソフトウエアがMacOSXに移植されてくると、MacOSXがもっともっと使いやすくなってゆくだろう。とても楽しみだ。これもMacOSXになってベースをUNIXに変更したことによる恩恵ということだと思う。

 残念ながらESP Print Proは現在では新規販売はしていないらしい。かわりに用意した後継のソフトウエアのCUPS Companion CDを使えという事らしい。ちなみに気になるお値段は$25だ。ユニバーサルバイナリにも対応したし、いままでの面倒なライセンス管理方式もやめてシンプルになったらしい。3100種類以上のプリンタドライバを提供される(Print Proは5400種類だったから減ったじゃん。ま、そのうち増えてくるんでしょうね。)ラインセンス方式がややこしくて、再インストールしたりマシンを変えたりするたびにライセンスキーを再発行してもらわなければならなかったのが、シンプルになるというのはほんとに助かる。

 今回はドットインパクトプリンタだったけど、レーザプリンタやインクジェットなどでもMac比対応のプリンタが使えるかもしれないからあきらめずに試してみてはどうだろう。物理的にMacには接続できないようなプリンタも、Windowsに接続できるならばプリンタ共有でMacから利用する形でCUPSのダライバを使えば対応ができる場合もある。

 うちの事務所内では、EPSON VP-2200にネットワークカードを仕込んでネットワークプリンタとして使っているが、MacOS9からMacOSXの移行に伴ってMacでは印刷ができなくなった。ネットワークプリンタなんだから、Macからも認識できそうな物なんだけど、ネットワーク上のプリンタの指定がどうやってもうまくゆかない。面倒なのでWindows機に設定を施してプリンタ共有で使っているが、なんだかスマートでない形になって効率の悪い事をしてしまっているのは、言ってみれば私の技術力のなさを暴露しているようなものなんだけど、結果的にMacOSXでVP-2200に宅急便の伝票印刷を実現できているからよしとするかな。

7 コメント:

匿名 さんのコメント...

なるほどなるほど!こういうところでもUNIXベースのOSという長所があったのですね!すごい勉強になりました♪

匿名 さんのコメント...

初めまして。この記事を読ませて頂きまして、大変参考になりました。当方も業務システムでドットインパクトプリンタを使用しております。この度、最新のマックにシステムを全て移行する予定なのですが、ドライバに悩まされて思うようにいきません。もしよろしければ、以下の内容について多少説明を頂けませんでしょうか?一方的なお願いで恐縮なのですが、よろしくお願い致します。

>面倒なのでWindows機に設定を施してプリンタ共有で使っているが

Unknown さんのコメント...

参考になればいいですが

ドットインパクトプリンタや別件で私が使っているカードプリンタのような特殊なプリンタの場合、プリンタとの接続に悩むことは多い。カードプリンタの場合も今回のドットインパクトプリンタの場合も、接続設定そのものがやり方がわからなかったり、うまくゆかなかったりすることがある。その場合の、変則的ではあるけれど逃げ道として考えたのが、Windowsで印刷できるようにセットアップした上で、プリンタ共有をしてあげると、MacOSXからこの共有プリンタを使うことができる。ドライバは、ESPなり標準のCUPSなりで使う。この方式は実績があって、かなり安定していると言っていい。ただし、オールMacといかないところがちょっといまいち。

Unknown さんのコメント...

EPSONのVP-930、OS X 10.4のみでOKでした。キモは解像度。
詳細

匿名 さんのコメント...

初めまして。
こちらの記事を参考にさせていただき、OSXでドットインパクトプリンタの印字ができるようになりました。
ありがとうございます!

ただ、難問にぶつかっておりまして、当方はファイルメーカーでヤマトの送り状を印字しているのですが、用紙の設定を換えても、連続紙の2枚ですでに1mm程度ずれてしまいます。
たーにゃさんは、連続紙での印字でしょうか。
その場合、ずれたりしませんか?
お時間があるときで結構ですので、ご回答いただければ幸いです。

Unknown さんのコメント...

残念ながら、当方では連帳用紙は試したことがありません。ヤマトの発送伝票も水平インサートで使っています。

昔のDOSなプログラム&シリアルインターフェースなドットプリンタだったら改ページのコードを送出したりするんでしょうけど、用紙サイズを調整するしかないんでしょうね。カスタム用紙サイズとかを登録できて微調整をしたとしても、何十枚も印刷する間にはずれてしまいそうな気もします。それとも、適切な用紙設定などをすると自動頭あわせなどをしてくれる気の利いた機能があるのかもしれません。

あまりお役にたてなくて申しわけないです。

匿名 さんのコメント...

ご回答ありがとうございます。

もう暫く、いろんな事をためしてみようと思います。

blogram投票ボタン